「ブラックジャック」の背景
ブラックジャックといえばマンガの神様、手塚治虫(てづか おさむ)による医療漫画です。
学校の図書館にも置いてありますし、何度かアニメにもなっていますので一度は見たことがあると思います。
現在では手塚作品の中でトップに入るほどの作品ですが連載当時は全く人気が無かったようです。
鉄腕アトムやジャングル大帝など多くの名作を世に出してきた手塚治虫でしたが
時代は流れあしたのジョーや巨人の星などの劇画タッチの漫画が主流となっており手塚は時代に取り残されてしまいました。
それでもいくつかの作品を送り出してきましたが不人気による打ち切りの連続となっていました。
そこで少年チャンピョンで連載開始されたのがブラックジャックです。
連載当初は人気が出ず打ち切り間近まで追い詰められますが徐々に人気になっていき読者アンケートで一位になっていました。
後年に文庫化されリバイバルヒットとなり現在では医療系漫画の金字塔となっています。
本作品はブラックジャックが主人公で超天才的な医療技術を持ちながら正規の医師免許を持っておらず闇医者として患者に法外な医療費を提示し治療し続けていきます。
その中で一番好きな『おばあちゃん』というエピソードを紹介したいと思います。
ある町で起きたお話
ブラックジャックはとある町で故障した車を発見し助け出します。
持ち主はお礼としてブラックジャックを家へと招待します。
その家族には年老いた老母がおり人目も気にせず家族にお金をせびってきます。不審に思い家族が調べて見てもお金がどこにもありません。
そこには老母が息子に隠していた秘密があったのです…。
秘密と覚悟
あることで秘密が明らかになり息子は愕然とします。
息子は老母を追いかけますが発見した時に老母は倒れていました。
ブラックジャックは息子に老母を助けるに3000万円要求します。
息子は驚きます。そこで取った息子の取った行動とは。
おばあちゃんと息子の愛情と覚悟【ネタバレ注意】
この作品には母と息子の愛情と覚悟というテーマで描かれています。
ある日老母が倒れた。
治療費はもちろんない。お金に執着していた老母が何故治療費がないのだろう?息子は複雑な思いを寄せていた。
老母はお金に執着するのは、息子の命を助けるために治療費をこっそり払い続けていた。
血の滲む苦労を重ね、働いた。雨の日も風の日も…
その事実を息子は知り愕然とする。
知らずに母の愛情を受けてここまで生きてきたことを知る。
老母は脳溢血(のういっけつ)だと告げ長くはないことを息子に伝える。
これまでの素直に慣れなかった恥や真実を知った息子は戸惑いを隠せない。
そんな息子にブラックジャックは無情にも治療費を3000万円を要求する。
ブラックジャックは息子に一言。
「それを聞きたかった」
これは命が保証される「金額」ではなく、「覚悟」の値段。
その意味がブラックジャックが放った一言に全てが詰まっていることが感じとれます。
人間の道徳心や感情を揺さぶられる神回のストーリーです。
一度見てみればこの感慨深い体験を味わえることが出来ると思います。
第89話「おばあちゃん」少年チャンピオンコミックス第7巻で読むことができます。
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